りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

愛のコリーダ

戦場のメリークリスマス」つながりだったか、坂本龍一さんが亡くなった時にいくつか読んだ追悼関連記事の中で、大島渚監督の話になり、この作品に触れていたものがあった。1977年という時代にとてもアナーキーにこの作品を作ったことが主題だったと思うけど、何となく興味を惹かれたので見てみることにした。
なるほど、ハードコアポルノ。ほぼほぼ全編男女の絡み。現代のAVならきっともっと凄いものとかあるのだろうけど、確かにあの時代にこの作品を作り、映画館で上映したのはアナーキーな気がする。ただ、ずっと男女の絡みなのだけど、なんか欲情しないんですよね。AVと違ってそういうものを狙っていないのかもしれないけど、美しいというよりも、どこか悲しい。舞台は昭和11年。つまり、二・二六事件が起こったその年です。当時の日本は世界恐慌の影響により深刻な不景気に見舞われ、企業が倒産し、街は失業者であふれ、その失業者が農村に戻ったことで、農民の生活はより苦しくなり、娘を女郎屋に身売りする家が出てくるような世の中だったはず。いつの世も政党内閣は適切な対応ができず、汚職も続発、そういう中で財閥だけが肥え太る世の中だったはず。そういう貧しさと悲しさ、そして何とも言えない諦め感が画像の中に蔓延していて、純愛の末に愛欲に溺れるというより、そこにしか救われるものがない切迫感みたいなものがポルノなんだけど全然欲情しない・・・につながっているような気がした。しかし、昭和11年ってまだこんな時代だったんですね。この映画が作られたのは1977年。つまり作品の舞台の約40年後。この映画が作られてから今は既に50年。むしろ映画が作られてからの方が時間が経っているのに、変化の幅は小さいような。確かに日本は停滞しているなとか、そんなことも感じてしまった。いろいろな意味で悲しい作品になってしまいました。

監督:大島渚

脚本:大島渚

出演者:松田暎子

愛のコリーダ 修復版