1986年の作品だけど、設定が昭和31年ということもあって、何だか古い映画を見ているような感じだった。昨日「夜明けの街で」を見たせいで、不倫つながりでレコメンドされたみたいだけど、丁度沢木耕太郎さんの「旅のツバクロ」を読んで、壇一雄さんの話が出てきたのでタイムリーでした。火宅の人って、壇一雄自身が主人公。浮気の状況を現在進行形の形で連載小説にしている。そのこと自体が破天荒なのだけど、檀一雄自身が最後の無頼漢といわれるだけあって、ハッキリ言ってハチャメチャ。純文学の世界はこういうのが有りな訳だけど、理屈とか世間体とか一切なくて、自分の気持ちのままに愛して、遊んで、放浪してっていうのはそれはそれで気持ちがいい。気持ちいいっていうのは違うかもしれないけど、コソコソしないで体を張っている感じはこっそり陰で不倫するより何だか赦せてしまうような気がする。今から34年も前の作品だけど、原田美枝子さんも松坂慶子さんも綺麗でカッコ良かった。深作欣二監督作品だけど、30年前は映画のステータスが違っていたのかなという感じさえしてしまう作品でした。