オートバイの事故で記憶を失った彼が、偶然彼女に再会し、付き合っていた記憶が戻らないまま、新たに彼女と付き合い始めるという展開はちょっと読めなかったけど、彼女の病気が再発、結局命を落としてしまうという哀しいお話。ただ、彼女が病気のことを彼に伝えないこととか、何か一歩感情移入ができきれない作品でした。キーとなるのは記憶を失うまでの二人の出会いから事故までの記憶なんじゃないかなと思うのだけど、その辺がもう少し丁寧に描かれた方が良かったのではないかと思ってしまいました。桐谷美玲さんが本当に細くて病人みたいでちょっと怖かったです。
監督:廣木隆一
脚本:高橋泉
石橋ユウという同名の10歳の男の子を子供に持つ、3人の母親を菅野美穂さん、尾野真千子さん、高畑充希さんが演じる。三人三様だけど、一言でいうとどの家庭もどこにでもありそうで、でも幸せそうではない。菅野美穂さんの旦那はカメラマンで浮気もしている。尾野真千子さんの旦那は東京への遠距離通勤をするおぼっちゃまなサラリーマンだけど、家庭のことは顧みている様子にない。高畑充希さんはシングルマザーだ。三人とも頑張っているが、そして子供を愛しているが、子供の方から見ると、自分の存在が母親を無理させているように感じさせてしまう存在になっている。親目線で見ていると、どこの仮定もちょっと辛い。三つの仮定にはそれぞれに事件が勃発するが、それはきっとトリガーであって、抱えきれないマグマのようなものが溜まりに溜まった状態だったのではないかと思われる。事件が起こる家庭は特別な家庭ではない。そういうことを感じさせられる作品でした。
監督:瀬々敬久
脚本:小川智子