りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

脳と人工知能

池谷裕二先生と紺野大地先生の「脳と人工知能」を読みました。脳と人工知能の進歩が時間や空間、身体といったあらゆる制約から解放し、人類の可能性を拓いていくというのがこの本のはじまり。将棋の藤井聡太四冠の「人工知能ソフトを使っていると、自分が気づかなかった手や判断を示されることもあります。自分にとって人工知能は、将棋の新しい可能性を拡げてくれるものなのかなと思っています」という言葉が載っている。おそらくこの関係性こそ、人間と人工知能の付き合い方なのだというのが前提。そして、総合情報理論に基づいて「現在の人工知能に意識が宿ることはない」という前提で話を進める。そして、意味の理解について。大阪大学の北澤茂先生は「意味の理解とは、世界と言語との対応表を学習することである」と主張し、「このような世界と言語との対応表を、人間は互換や体を使うことで成長とともに徐々に学んでいく」という話を紹介している。今井むつみ先生の記号接地理論に似ているような気がする。それから、人工知能と脳の研究について。脳の研究は・・・生体の危険もあるので簡単ではなさそう。でも、確実に進んでいるのは事実だし、ALSの患者のように身体的な障がいを負った人にとっては、意思疎通のための救世主になる可能性もある。最後に今後の研究として、人工知能が進むことで何が起こるのかの考察があった。興味深かったのはシンプルな理論は人間の理解の限界がそこにあるからなのでは?という仮説。いわゆる人工知能ブラックボックス問題。これは・・・以外に根深いかも知れない。いずれにせよ、大変興味深い話が満載で、ためになる本でした。