りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

ノースライト

横山秀夫さんの「ノースライト」を読みました。印象に残っているセリフがあって、死んでしまった岡嶋の「知っていたんだろうな、タウトは。この世で一番美しいものを。形あるものか、観念的なものなのか、ともかく絶対美と呼べるものの在り処を知っていて、だから自分も美しいものを想像しようとした。それって、自分の心を埋める作業だよな。埋めても埋めてもまだ足りないものを、ひたすら埋めていく終わりなき作業だ」というもの。判ったようで判らない言葉だけど何だかとても印象に残った。

この作品、ずっと判らないままに進行し、最後に色々な謎が解ける。謎が解けるスッキリ感と、青瀬が作品を渡すときの条件として「岡嶋の息子に、これは君のお父さんが建てたんだと話すことを許してほしい」というセリフがとても爽快。岡嶋の夢は、自分の息子に「これがお父さんが作ったんだ」と胸を張って話せる作品を残すことだった。本当にこれが叶えば、この上無い岡嶋への弔いになることだろう。男性はやっぱりこういうところがあるよな。これが自分の仕事だと胸を張って家族に話せるもの。自分もそんなものが欲しかった。面白い作品でした。

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