りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

罪の声

実際のグリコ・森永事件が起こったのは大学生の時で、かい人21面相のウィットに富んだ脅迫文に知性を感じながら、実は裏取引とかで自然と幕引きしたんだろうなと思っていました。しかし、「罪の声」の原作を読んで、確かにこういう手があったのかも知れないと思ったのと、さらに永田町が絡んでいるとなると益々現実感があるなとか思っていました。骨格は劇場型犯罪での株価操作。ただ、それをするには資金力と犯罪のリアリティが必要でそこには永田町と暴力団が絡んでくる。
さて、映画はそうした過去の犯罪をベースに何も知らずにこの犯罪に関わってしまった子供たちのその後の人生と、時効の成立した昭和の劇場型犯罪の深層を追いながらマスメディアの意義を改めて考える新聞記者、という形で展開していく。普通のミステリーとは違って、真相を明かして犯人を追い詰めることが目的ではない。真相が明らかになるにつれて、事件に関連した人たちとその人たちの人生が明らかになっていく。そして、全ての真相が明らかになった時、自分が犯罪に関わることになった背景が判った時、彼らの心の澱は晴れたのだろうか?

京都弁で自らの仕事に誇りを持ち、家族を大切にするテイラー役の星野源さんが、味があって想像以上にいい演技でした。

罪の声