りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

小説帝銀事件

松本清張さんの「小説帝銀事件」を読みました。昨年末NHKのドキュメンタリーでこの作品を松本清張が書くきっかけとなったところをやっていて、どちらかというと真犯人は旧日本軍の731部隊関連、平沢貞通は冤罪という仕立てになっていたように思い、その辺をもう少し知りたくてこの本を購入。もともと帝銀事件は、昭和の冤罪事件?としてなんとなく興味があったけど、あまり本気で調べたことがなかったので、その意味でもちょうどよい機会のように感じた。

正直言うと、帝銀事件っていうものがどういう事件だったのか初めてその概要をしりました。この本でもそのように書かれていたけど、この犯罪は、少なくとも毒物の知識、取り扱いに精通していることが絶対条件だと思うのだけど、少なくとも平沢はこれに該当しない。大事な毒物の入手ルートや得られたお金の使途が明らかにならないままに死刑判決が下された。それは本当におかしな話なのだけど、新聞はそれを当たり前のように報じ、世論がそれを後押しした・・・ように見えた。本当に、昭和っていう時代はまだとても現代とはいえず、なんでもありの発展途上国日本だったんだなと改めて感じた。ただ、そうなった背景に731部隊の存在があったであろうこと。アメリカがこれを隠蔽することに加担したのは、731部隊の持っている人体実験という貴重なデータが欲しかったためと思われることを考えると、やっぱり力を持つものが強いということなんでしょうか。

一つだけ今までのイメージと違ったことは、平沢貞通という人物が、人間としてクズだったこと。強盗殺人までやるかは別として、犯罪者として捕まった時、だれも彼を擁護したくない、そういう人物だったことはちょっと意外でした。ただ、冤罪は冤罪。決してあってはならないことだと思います。