りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

悪人/怒り

吉田修一さん原作、李相日監督の作品を2つ続けて鑑賞。

まずは、「悪人」。2010年の作品だから、もう10年以上も前の作品なんですね。原作がとても優れた作品だと思っていて、それを映像化したこの作品も予想通り忘れられない作品の一つとなった。10年振りに見て、ところどころ忘れていたところもあったけど、やっぱりこの作品のモチーフである「誰が悪人なのか」は本当に考えさせられる作品。地方は高齢化が進んで、そこに残った若者には閉塞感が一杯。出会い系、今ならマッチングアプリで鬱屈した日常に何か変化をもたらしたいという気持ちは痛いほど良く判る。そうやって苦しんでいる人をカッコ悪いと笑う悪人。一番胸糞悪いな。高齢者を狙う詐欺も・・・ただ、妻夫木聡深津絵里というカップルだから感情移入できたところがあったのも事実。これがダサい感じのカップルならロマンスを感じられたかは疑問。何とも息苦しく、考えさせられる作品。

悪人

続いて「怒り」。この作品も5年前の作品。久しぶりに見て、やっぱり「信じること」の難しさを考えさせられました。愛しているけど信じ切れない不安。何も判らないけど、簡単に心を許してしまう気持ち。
タイトルの「怒り」は何に対する怒りなのか?殺人の動機は暑い日に玄関前に座り込んでいた際に、冷たい麦茶を差し入れてくれたこと。親切心から出た行為が「見下された」という感情を呼び起こしてしまった。その根底にあるのは、「悪人」と同じように社会からある意味はじき出された若者の鬱屈した心なのかもしれない。怒りの矛先は、何も疑わずに人を信じてしまう人、その人の恵まれた環境に対してなのかもしれない。
色々考えさせられたけど、それでも人間関係の根幹は信頼だと思うし、人を信じる気持ちは大切にしたい。

怒り