りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

 吉田修一さんの「路」を読みました。一言でいうと台湾新幹線導入の話なのだけど、もちろんそういう開発というかプロジェクトX的な話ではなく、あくまでもそれに係わるあるいはその周辺にいる「人」の話であり人間ドラマ。中心は日本人と台湾人の交流なのかな。何だか、台湾に行ってみたいと思わせる作品でした。

吉田修一さんというと「怒り」だったり「悪人」だったり、どこか社会から溢れてしまった屈折した若者が物語の中心にいたりするのだけど、この物語はもう少し普通。もちろん、登場人物はそれなりに悩みを抱えるわけだけど、健全。主人公である春香も鬱病の婚約者繁之との関係という悩みはあるけれど、明るく前向きな性格と人豪との交流もあって真っ直ぐ仕事に取組み成長している。人豪も春香の人柄に惹かれながらも、日本語を学び、日本を学び、日本の技術者などとの交流を経ながら確実に成果を出している。プロジェクトの技術者である安西や土木・建築で日本の高度成長を支えた技術者である葉山は台湾人との交流を通して、生きがいや自分らしさを取り戻していく。読んでいてとても暖かくなる作品でした。

読み終わって知ったのだけど、これNHKドラマになっていたんですね。どうりで、Amazon吉田修一さんで検索したら、そんなに新しい作品でもないのに一番にヒットした。評判も良さそうなので購入してみたけど・・・その理由が判りました。ドラマは終わっちゃったみたいだけど、再放送があったら見てみたい作品でした。

路 (文春文庫)

路 (文春文庫)

 

[DATA]

今月の読書 4冊

1月からの読書32冊