原作は未読。ただ、これは原作を読んでから見るべきだったなと思う作品。何事も器用にこなすけど達成感が乏しい高校生が、絵を描くことに目覚めて、東京藝術大学を目指してひたすらに絵にのめり込んでいく話なのだけど、2時間の長さにすると、どうも良いとこどりのダイジェスト版のような気がして、原作にはもっと深みがあるんだろうなと感じさせる作品でした。もちろん、映画も良かった。ただ、絵を描くこと、それは才能だけでなく技術に関する知識もあるし、先達の見た様々な世界観や色、何を感じたかという知識が自分の中で蓄積されて、やがてそれが自分が絵を描くことのモチベーションを産む力になるだろうし、伝えたい気持ち、承認欲求につながっていくのではないかとそんなことを感じたのだけど、もっともっとそういう沼の姿を見てみたい気持ちがそそられた。絵に込めたコンセプトのヒントはいろいろなところに転がっている。それを感じる感性があれば、それは自分の創作物につながる。そういうものを感じる作品でした。
監督:萩原健太郎
脚本:吉田玲子
出演者:眞栄田郷敦