りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

死刑にいたる病

櫛木理宇さんの「死刑にいたる病」を読みました。先に映画を見てしまったのだけど、やはり原作を先に読むべきでした。映画は原作に比較的忠実だったけど、原作を読んでこそ「なるほど」と思えるものがありました。一番違っているなと思ったのは榛村と雅也の関係。ある意味特別ではあるけど、実は榛村の支配という関係があったことが原作を読んで良く判りました。榛村には人を支配してしまう特別な能力があって、それが犯罪ではいかんなく発揮されている訳だけど主人公である雅也との間にも成り立っていたんですね。読者は雅也目線で榛村を見ているからなかなか気づきにくかったのだけど、榛村は、塀の中にいても、人を支配する楽しさを味わっていたし、そんな榛村にとって雅也はたくさんある支配する相手の一人にすぎなかったということなのかな。

こういうサイコパス関係の話の面白さは、犯人が知能犯であること。彼らが何に快感を感じ、何に喜びを感じるかは別として、極めて冷静に相手を分析し、独特のアプローチで相手を支配してしまうところに面白さがあるような気がする。この作品も間違いなくそういうことみたいです。セリフの中に「嘘をつくときは9割の真実の中で核心的な部分で嘘をつく」といったものが出てくるのだけど、9割真実があるところに嘘を信じ込ませる凄さがあるのだろうなと思ってしまいました。

それにしても猟奇殺人犯が一つだけ冤罪だと叫ぶコンセプトが面白い。もう、その設定でこの作品の面白さが9割保証されたような気がする。

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