りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

 林民夫さんの「糸」を読みました。4月に菅田将暉さんと小松菜奈さんのダブル主演で公開される映画の原作。というか、林さんが書いているということは、映画のノベライズかな。文章を変にこねくり回さないというか、短い文章でさくっさくっと描写される書き方は、確かに脚本を読んでいるようなところがありました。モチーフは中島みゆきさんの楽曲「糸」なので、「会うべく人とは会うべく時に会う」ということかな。折しも、主演の二人の熱愛報道が発覚したところで、なかなかタイムリーな作品でもあります。そして、個人的には「恋は雨上がりのように」とか「ぼくは明日、昨日の君とデートする」の菜奈さんはかなり好きな女優さんでもあります。

さて、この作品ですが、モチーフがモチーフだけにラストは多分に予想できてしまう訳で、お互いが「運命の人」と予感されるものを持って、かつ、お互いがそれぞれに縦糸と横糸を紡いで、運命の出会いなのか再開なのかをするという基本ストーリーは決まっている。問題は「運命」を予感させるエピソードと縦糸と横糸の紡ぎ方。まず、背景に平成という時代とネグレクトという社会問題を取り上げた。菜奈さん演じる葵さんにはネグレクトとDVがあって、そこからの脱出、自立というのが一つのテーマ。菅田君演じる漣には、北海道という大地と、そこでの平凡でささやかな幸せを選択するけど、満足といか納得しきれない地方の若者の少し屈折した気持ちが背景に見え隠れする。運命の糸を手繰り寄せるキーワードは「泣いている人を優しく抱きしめてあげる心」なのかな。舞台は北海道から東京、沖縄、シンガポールに展開する。これは絶対小説より映画で見る方が面白そう。

糸 (幻冬舎文庫 は 36-1)

糸 (幻冬舎文庫 は 36-1)

  • 作者:林 民夫
  • 発売日: 2019/12/30
  • メディア: 文庫
 

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