結局、何がすばらしき世界なのかな・・・と思ってしまったのが見終わった時の素直な感想。全くのアンハッピーエンド。確かに日本は道を踏み外してしまった人には生きにくいところかもしれない。一言でいえば、面倒なことには係わりたくないということ。人懐こいところがあるけど、前科がある。まっすぐだけど、頭に血が上ると歯止めが利かない。やっぱり係わりたくない暴力装置なんじゃないかなって思ってしまう。
一方で、当たり前だけど人は一人では生きていけない。社会があって、地域や組織、家族があって自分が生きている。その中には多様性があって、ある程度の不都合を呑み込んで、全体の調和を保っている。そのバランスを崩してしまうことに、特にそれを暴力手段によって壊してしまうことに社会は不寛容なんだと思う。そういう不寛容な世界で、辛坊して我慢して生きていれば、理解しあって、支えあえる人に巡り合える、そういう人がひとり増えるだけでも、ちょっとだけ幸せになれる。そうやって自分の居場所ができていくことが、ある意味ですばらしき世界なのかもしれない。それにしても役所広司は凄い役者だ。