りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

アフター・デジタル2

 藤井保文さんの「アフターデジタル2 UXと自由」を読みました。前著「アフターデジタル」もとても刺激的な内容でしたが、これもまた凄い。どうも香港の動向とか見ていると中国という国には批判的な目線しか持てないけど、この本に書かれている中国は正に手本にしなければならない「デジタルな国」。この辺はこの国との付き合い方も考えないといけないなと思ってしまいました。

企業経営は、人を集めないことを前提にした業務、サービス、販売、開発などへの変化対応を迫られています。

消化しきれていないところも多いのだけど、気になったことを転記。
・「新たな顧客体験(=UX:ユーザーエクスペリエンス:User Experience)を作り、顧客とアフターデジタル型の関係性を築くことがあるべきDXである」。別な言い方をすると、「UXを議論しないDX、顧客視点で提供価値を捉え直さないDXは、本末転倒である。
・得られたデータをいかに社会に還元するかを大事にしている。

・データやテクノロジーを正しく理解し、正しくビジネスに活用することでサステイナブルなビジネスと顧客関係を両立させる「能力」と「方法論」が必要 になります。
・オンラインがオフラインに浸透し、もともとオフライン行動だった生活が次々とオンラインデータ化し、かつ、個人のIDにひも付けられ、膨大かつ高頻度に生まれる行動データが利活用可能になるということです。
・鍵は「行動データ」です。行動データによって顧客理解の解像度が上がり、付加価値を高めることができようになるのです。
・属性データの時代から行動データの時代になる。行動データが取れると、「最適なタイミングに、最適なコンテンツを、最適なコミュニケーション方法で提供できる」 ようになります。
・個別接点のデータがいくら集まっても大した意味はなく、データがシーケンス型に整理されていることが大事です。
・たまったデータをUXに還元し、さらにUXを良くすることでより粘着度(注) の高いサービスに改善され、進化し、さらに行動データがたまっていく、といったループを作ることが「体験型ビジネス」の成功の最重要ポイントになります。
・体験提供型ビジネスをOMOの思考法で運営し、エクスペリエンス×行動データのループを回す新たなビジネスモデルを、「バリュージャーニー」と呼んでいます。
・ブランドの世界観を押し出し、テクノロジーを駆使してこれを伝えた上で、顧客に製品を販売するモデルからリレーションを作っていくモデルに転換して行く必要がある。

・UXへの注力がされていないDX、顧客の状況理解のないDXプラン、そうしたプロセスによるデジタル化は、まず成功することはない のです。
・成功体験のある多くの企業は、環境が変化していることで価値が目減りしていることに気付かず、気付いたときには対応に後れを取ってしまっていた、という状況に陥っている。
・利便性はコピー可能である一方、ブランドは模倣が難しいため、時代に合わせて価値を再定義して技術を正しく導入すれば、アフターデジタル時代においてもより大きく成長することが可能である ことを示しているためです。
・そもそもOMOとは目的ではなく、あくまで顧客提供価値を増幅するための考え方です。
・アリババは、ECだけではシニア世代を獲得できなかったが、アリペイを始めてからシニア世代を一気に獲得できた
・フーマーはリアル店舗ですが、オンライン購入の比率が高く、多い店では9割がオンラインです。
・そもそもデジタルという環境だからこそ実現できていたことをリアルで無理やり行おうとするので、通常は人的リソースを大量に使いつつ、技術で圧倒的な高効率化を実現しないと難しいです。
・ハイタッチ、ロータッチで得られた信頼や関係性を、テックタッチでの高頻度な行動に還元し、テックタッチで得られたユーザー行動を基に、再度ハイタッチやロータッチに誘導したり、別のアクションをお勧めしたりしています。
・データはソリューションにしないとお金にならないのです。データとはその解釈とセットでないと意味を持たないし、お金にならないのです。
・ディディでは、主観的な相互評価だけではなく、ユーザーの配車リクエストへのレスポンスの速さ、受けた配車に対してのキャンセル有無、移動時のスピード、急ブレーキや急発進など危ない運転をしていないか、といった行動を見ることによって、ドライバーの品質を評価するようにしました。
・UXとは「ユーザー(デザイン)、ビジネス、テクノロジー(機能)の3つがそれぞれ関わり合うときに生まれる
・通常「意味」の役割をサブスクリプション化するとうまくいきません。NIOやズールーでも、サブスクリプション化していたのは便利系サービスのみです。
・日本のおもてなしは、美徳やモラルが共有されていることを前提に、むしろこちらが作り出した世界観を相手に提示するもの です。これらの作法も「完成された世界観や哲学」を基にしているだけで、お客様を置いてきぼりにしたり、押しつけて相手をないがしろにしたりすることではありません。
・実際、データが直接的にお金になるような事例はほとんどなく、ソリューションビジネスに転換したり、マーケティングの効率化に使ったりといった成果事例しかありません
・データをUXに還元することで、ユーザーからの信頼と、サービスへの吸着が生まれます。そうした上で、より高い付加価値を提供して課金したり、より高頻度に接するユーザーが増えることで新たなビジネスにつなげたりすることで、社会にも自社にもユーザーにも、結果として利益をもたらす構造を生み、持続可能なビジネスをもたらします
・DXの目的は「新しいUXの提供」であり、その実現と成功に対しては、「単発の事業がビジネス的に成功する」ことよりも、「組織としてバリュージャーニーの企画運用ができるようになる」ことのほうがよほど重要です。
・UXに還元して使わないとデータはほぼ使えないし、ましてや「過去のデータを持っていてもほとんどリスクとコストにしかならない」。

アフターデジタル2 UXと自由

アフターデジタル2 UXと自由

 

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