改めての感想再び。塚原あや子監督、野木亜希子脚本の「ラストマイル」を見る。凄い。やっぱり野木亜希子は凄かったとしか言いようがない。明らかにAmazonを批判した社会派の仕立て。よく考えられたトリックとストーリー。別にアンナチュラルやMIU404 の名前を借りなくても十分ヒットするであろう作品。でも、この作品に三澄ミコトさんが出てきたのは嬉しい。
この映画のキーになっている、「2.7m/s→0、70kg」というワード。これは映画の中でも説明されているように、ベルトコンベアの速度と最大荷重。つまり、コンベアを止めるには70kg以上の荷重を掛ければ止まるということ。この狂ったシステムを止めるのは70kgの重さ、成人男子1人分の重さで十分であるということ。中村倫也の演じた山﨑は、3Fから自分が飛び降りる事でこれを止めようと試みた。けど、止まったのはほんの数秒。システムは何事もなかったように再び動き出した。ただ、これが引き金となって恋人筧まどかの爆弾テロに繋がり、結果エレナによる僅かばかりの配送料引き上げに繋がった。これで良かったというハッピーエンドではないけど、多少は報われたのかも知れない。資本主義は競争の社会。絶えない人間の欲望を追求していけばどこかで歪みが生まれる。求不得苦、求めても得られない苦しみ、Amazon はこれを限りなく実現してくれる。しかもお手頃の価格で。Customer Centric (顧客中心主義)は顧客の望みを叶えるために、徹底的に弱者から搾取するという事。搾取される側の声はなかなか届かない。事件でも起こさない限り。アンアチュラルのテーマであった不条理な死。結局、そこに繋がるのかな。
テーマ曲は米津玄師の「がらくた」。夜、初耳学のゲストは米津玄師。やっぱり、感性が違う。国語力がめちゃ高い。 宮崎駿を私淑しているとのこと。私淑という言葉、初めて知った。