りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

三島由紀夫が復活する

小室直樹さんの「三島由紀夫が復活する」を読みました。正直消化不良です。冒頭は二二六事件から始まる。確かに二二六事件は謎も多いし、不可解なところも多い。大恐慌から農村での困窮が背景にあり、財閥などが私腹を肥やしていたのは事実。政治が機能していなかったのも確かなのかもしれないが、軍は縦のラインで動くべき組織。青年将校が決起するのは明らかなクーデター。この時の軍部の対応も不可解だし、謎の軍法会議で幕引きされた終わり方も不可解。二二六産業といわれるごとく、関連する書籍も多く、当然私も何冊か読んでいるが、確かにこの本に書かれているような矛盾はいろいろ多い。ただ、これらの謎が三島由紀夫が理解した、仏教哲学の唯識論で解けるといわれても、正直良くわからなかった。

三島由紀夫が仏教を天才的に理解していたという話は興味深い。唯識論は仏教哲学の極致であって、仏教研究の専門家には必須と書かれていたが、「具舎三年、唯識八年」といわれているがごとく、にわかに勉強しても判らなすぎる。先日読んだアビダルマと通じるものがあるところは判ったけれど、さすがにここは理解できない。

後半、三島の行動や、縦の会班長の文章、彼に宛てた遺書などが、三島由紀夫という人の行動規範を理解するという意味では分かりやすかったような気がする。彼の国防に関する考え方は、確かに現在にも続く論点だし、その断面を切り取ると、今この本を改めて読む価値もあるのかもしれないなと思った。ただ、三島は頭が良すぎて、それでいて純粋で、妥協を知らない。これに付き合っていくのは大変だなとそんなことを考えてしまった。でも、「豊饒の海」全四巻を購入してしまいました。まずは「春の雪」から。楽しみです。