りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

ロストケア

先週Amazonプライムで「PLAN75」を見た後だけに、立て続けに厳しい現実に直面させられたような気がした。松山ケンイチさん扮する斯波と長澤まさみさん扮する検事大友との一対一の対話は、介護を経験した者にとっては、リアルな正義と法治国家としての現実のぶつかり合い。老人介護は果てしのない苦しみの連続。子育てや看病と異なり成長や回復がない分、辛さだけが延々と続く。介護からの解放は被介護者の死を意味するわけで、決して死を願っているわけではないのだけど、何とかこの苦しみから抜け出したいという気持ちが湧いてくるのを防ぐことはできない。介護経験者にとっては、斯波の言葉は現実であり、自分にはできないけど、誰かがそれをやってくれるなら、それが「救い」なんだというのは判るような気がする。ずるいんですよね。自分ではできないし、他人に頼むこともできない。でも、結果、ホッと安堵している自分は、「救われた」といわれても反論できないのだと思う。それは法治国家の枠組みの中で許されざる行為だとしても、救いであることは間違いないのだと思います。PLAN75は、そうなる前に国家がその担い手にならんとするお話。あまりに非現実的で気持悪さMAXの作品だったけど、放置すれば待っているのはロストケアの世界なんですね。
何人かの人が感想に書いていたけど、柄本明の演技はメガトン級の破壊力があったような気がする。介護者だけでなく、壊れていく自分に、家族に迷惑をかける自分に耐えられない被介護者の苦しみも十分伝わってきたように思う。彼らも苦しいのです。彼らも救われるわけです。
折り鶴の中に掛かれた「お前が俺の息子で良かった」という言葉。辛すぎるな・・・

監督:前田哲

脚本:龍居由佳里、前田哲

出演者:長澤まさみ松山ケンイチ柄本明ほか

ロストケア