とても気持ちがどよ～んとしてしまう作品。娘の不慮の事故死によってモンスター化してしまう親父。元々そういう人なんだろうけど、彼にはせめて娘の無実を晴らしたいという何か信念のようなものがあり、とにかく手が付けられない。できれば係わりたくない人。こういう面倒な人に、加害者の立場としてかかわらなけばならなかったスーパーの店長と女性ドライバー。どんなに謝罪しても受け入れてもらえない。マスコミの攻撃、社会的制裁、明らかに壊れていく自分。それでも攻撃は止まらない。結局、女性ドライバーは耐えられなくなって死を選んでしまう。とても不幸な終わり方だけど、ここでの母親の対応が素晴らしかった。不幸に直面すれば、誰しもその引き金になった誰かを恨みたくなる。でも、怨嗟は何も生まない。母親は自分の気持ちをグッと抑えて怨嗟のリンクを断ち切った。そういう勇気が父親に小さな変化を与えた。誰しもが大きなものを失った。どこにも救いは無いのかと思ったけど、弁当のくだりはありがたかった。どこかに希望があるっていうのは本当に救われるなと思いました。
監督：吉田恵輔
脚本：吉田恵輔
