りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

ドライブ・マイ・カー

完全に消化できた自信はないのだけど、とても良かった。原作は読んだはずだけど記憶にない。でも、特に最初の方では村上春樹さんの世界観を十分感じることができた。人間には色々な人格があって、その人格には当然矛盾も存在する。違うのは矛盾する人格の程度とそれをコントロールできるか否か。二人の世界を壊したくないために都合の悪い人格に気づいていながら見て見ぬふりをしてしまう夫。知られたくないけど、知らないふりをされることに耐えられない妻。自分の罪を知って、それも含めて愛してほしいのか、怒って素直な自分をさらけ出してほしいのか。向き合わなければならない事実に向き合わなければならなかったことで、かえって妻の死の責任を感じ自分の殻から抜け出せなくなった夫。そういう構図だけ見えた気がした。多言語で展開される劇中劇、手話を交えた多言語故に単なる言語のコミュニケーションとは異なる深い理解があるような印象を受けた。そういう中で自分と同じように不幸な過去を背負う女性ドライバーの存在。二人が交流することでお互いの閉ざされた過去が開かれていくような展開。ラストで顔の傷が消えた彼女と赤いSAABが韓国の街を疾走する姿を見て、何故か明るい未来を感じることができた。

ドライブ・マイ・カー