立て続けに西川美和監督作品。静かなマイブームです。本日は2012年の作品。「夢売るふたり」。「夢見る」ではなく「夢売る」であるところがポイント。
夫婦で切り盛りしていたお店を火事で焼失してしまうところから物語が始まる。どん底に落ちたところで、夫が常連客と関係してしまう。ただ、そこで偶然大金を手にしてしまった。ここから妻公認の結婚詐欺が始まる。優しさになれていない、人に甘えることに慣れていない人は、誰かを頼ってしまうとそこから抜けられなくなる。妻の書いた筋書きで、着々とお金を巻き上げていくが・・・夫婦の間には軋みが生まれる。何のためのお金なのか、何が幸せなのか。騙される女たちの表の部分と裏の部分に触れ、心穏やかでない妻と騙すことにも耐えられなくなっていく夫なのかな。一見強そうで、自分の意思でシナリオを書き、夫を操る妻。ただ、仮初の関係とはいえ、夫と女たちの間に築かれる関係性と空気に心はかき乱される。そんな妻を松たか子さんが好演。そして、最後は、やっぱり幸せにはならないんだよな。当たり前だけど。