岩井俊二監督の「ラストレター」を読みました。今年封切りされる映画の原作。ラブストーリーなのだけど、現在と過去(中学生時代)、彼女と妹という時間的にも人間関係的にも少し複雑で、手紙という媒体のやり取り(しかも、ストレートでないやり取り)で、状況の理解が進んでいくというのはいかにも映画的な作品であることを感じた。原作が岩井監督ということで、先に映像ありきなんでしょう。
主人公にとっては彼女の存在はとても大きくて、大学時代に一時期付き合っていた時期があるわけだけど、それ故になのか初恋の相手でありながら、忘れられない存在に。彼女の気持ちは終始不明。そして中学時代は彼のことを好きだった妹の気持ちも今は判らない。主人公だけが女々しく忘れられないのかと思いきや、ラストレターの形で届けられたメッセージから主人公への想いが伝わってきたような気がする。とても遠回りで、ストレートでない分、何か不思議な魅力が感じられる作品なのではないかと思った。
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今月の読書 1冊