りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

往復書簡

湊かなえさんの「往復書簡」を読みました。この本には「十年後の卒業文集」「二十年後の宿題」「十五年後の補習」の三篇が収められており、「二十年後の宿題」は映画「北のカナリアたち」の原案だと聞いています。が、映画の予告編を見る限り、ちょっと違う印象。でも、面白かったです。
湊さんの作品はいずれも登場人物が章ごとに別の視点で語るのが特徴。この作品も往復書簡という手紙の形をとって、いくつかの視点で物語を語らせるという特徴は踏襲されています。語る人が違うと、同じ事件でも全く違ったものに見えるというのがこの「往復書簡」の特徴かもしれません。まあ、いつもそういう効果を狙っているのかもしれませんが。作品としては、やはり「二十年後の宿題」が面白かったです。定年退職を迎えた学校の先生が教え子の一人に頼んで、二十年前に起こった事件の関係者(生徒)6人に会って話を聴いてこさせるというもの。事件へのかかわり方、見方で同じ事件が全く違って見えていることがとても効果的でした。そして、なぜそんなことを先生が教え子に頼んだかという種明かしが最後にあって・・・でも最後の手紙には差出人の名前がなかった。辰弥なのか大場なのか。山野梨恵の手紙を読んで、普通に考えれば大場なんじゃないかと思うけど、それまでの往復書簡は「竹沢先生・・」で始まり「大場敦史拝」で終わっているのに、最後の手紙だけ「竹沢真知子先生へ」で始まり「それでは、また」で終わっていることを考えると、むしろ自然に辰弥なのかなと思えてきます。そして、利恵の素直な気持ちを考えると、辰弥であるべきなのかなとも思いました。難しくないのかな。とりあえず、面白かったです。それから「十五年後の補習」の意外な結末、最後のどんでん返しも良かったです。

往復書簡

往復書簡

[DATA]
今月の読書 7冊
1月からの読書 43冊