澤地久枝さんの「妻たちの二・二六事件」を読みました。二・二六事件で決起し、結果反乱軍とされ、死刑になった青年将校たちの残された妻たちの昭和の生き様を描いたノンフィクションですね。妻の生き様というものもありますが、妻の視点から見た二・二六事件と青年将校たちの生き様という要素があって、個人的には「昭和史発掘」のように莫大な資料に裏打ちされて詳細な読み物ではなかなか見えにくい大局観がつかめたような気がします。そして、個人個人の苦労はなかなか想像できるものでもなく、本当に大変だったんだなといちいち恐れ入って読んでしまいました。あと、初めて知ったこととして、「二・二六事件関係者は、敗戦後の昭和二十年十月十七日、大赦の勅令によって赦免されている」という事実がありました。赦免によって名誉が回復されるのかという問題は良くわかりませんが、暗黒裁判といわれた軍事裁判が政治的に行われたこともあり、その辺がバランスされた結果なのかもしれません。この本は澤地さん処女作らしいですが、すばらしい作品だと思います。

- 作者: 澤地久枝
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1975/02/10
- メディア: 文庫
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