りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?

今井むつみ先生の「『何回説明しても伝わらない』はなぜ起こるのか」を読みました。最近、読書メモをさぼっていたので久しぶりです。

大前提は、話し手と聴き手の知識の枠組み、思考の枠組みが異なること。スキーマという言い方をしているけど、特に母国語が違う人と話をするときはこのスキーマが異なることで、同じ認識ができないということが起こりうるという話。あとは、記憶は理解して蓄積されるということ。逆に、理解の仕方によって記憶がゆがめられることもある。そして、人間はまんべんなくものを見たり認識したりすることができないばかりでなく、目に入ったり認識したりしたごく一部の情報が「すべて」だと思い込んでしまう傾向があるらしい。さらにいうと、人間は、「これが好き」という感情が最初にあって、それをもとに意思決定し、あとからその選択でどうかを理性で検証するという癖があるらしい。こういう前提条件があると、昔から言われていることが理にかなっていることも判る。例えば、「技は盗め」という話。教えてもらうと自分で考えないでしまう。教えてくれずに、自分で技を習得したいと思えば、いろいろ試行錯誤して考える、つまり理解が伴っていくので、自然と技が身についてくるという話らしい。「結論を最初に」というのも、話し手の意図が最初に判っていた方が、理解がしやすいということに基づいているらしい。いずれにせよ、相手のスキーマがどうなっているのか、理解することが記憶、認知に強く影響するということがこの本のポイントなのかなと思いました。