りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

言語の本質

今井むつみ先生と秋田喜美先生の共著である「言語の本質」を読みました。この本を読みたかった理由は記号接地問題をもう少しきちんと理解したいからでした。AIには本当の理解ができない。それは接地していないからという記号接地問題。これをもう少し学びたかった。ただ、最初にオノマトペの話が延々と続き、あとは試験もあって、遅々として進まない状況が続いたのだけど、試験も終わって、やっと読み終わって、そしてやっぱりとても面白かったです。

言語を習得するということは、人間の五感を使いながら自分の中に言葉の意味のスキーマを作っていく作業が最初にあるというのが基本。まず母国語をそうやって肌感覚でいろいろなWordの持つ意味を会得しながら、さらに新しい語彙を習得していく。赤とオレンジ、どこまでが赤でどこからがオレンジなのか。そういうのを含めてスキーマが造られていく。新しい言語を習得するときは、母国語のスキーマがあるために母国語に一度置き換えながら新たなスキーマを作っていくわけだけど、そこは母国語を習得するというのとは結構違うということかな。いずれにせよ、知識のスキーマを作っていくというのは非常にわかりやすい。新しい分野の勉強をするときも、字面は追えるのだけどなんだか腹落ちしないというか理解がついていかないところがあるのだけれど、本を数冊読み終わったくらいから、しっかりと理解がついていくという経験は何度もしている。そういう知識体系ができていくと、そこをベースに知識を拡張していけるというのは何ともわかりやすい。

あと、人間が、ホモサピエンスという種が言語を取得できたのはアブダクション推論のおかげというのはとても説得力がある話だ。人間は対称性推論をするけど、チンパンジーは対称性推論が行えない。言語の学習には、記号と対象の間の双方的な関係を理解し、どちらかの方向(例えば記号A→対象X)の結びつきを学んだら、その結びつきの逆方向(対象X→記号A)に一般化できると想定する必要があるらしい。ここが人間が言語を取得できた大きなポイントであるというはとても勉強になりました。