りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

映画にまつわるXについて2

 西川美和監督の「映画にまつわるXについて2」を読みました。久しぶりに何の気兼ねも無く本が読める。何か勉強しているときは、本を手にしてしまうことに罪悪感があるけど、試験が一段落したのでやっと。その割に仕事が忙しくて、なかなか読めなかったのだけど、今日も出勤していたので往復の電車の中でしっかり読むことができました。

この本も、前作に続いて映画作りにまつわる色々なことと、プラスアルファ短編小説と全く別な形のエッセイ。時期的には「永い言い訳」を着想し、制作している時期が多いようだ。「永い言い訳」は本木雅弘さんが主演で、モッくんはNHKの「坂の上の雲」で秋山真之を演じてめちゃくちゃ好きになったのだけど、意外にめんどくさい性格で、この映画の主人公幸夫と本当に同じみたい。でも、このエッセイを読んで、西川監督のこだわりも思った以上に凄くて、なかなかご一緒するのは難しそうな感じがしました。それは仕事の面でも、仮にプライベートな知り合いであっても・・・そういうこだわりがあるから、着想が生まれて、こだわりのある作品が作れるのだろうけど、身近にいたら一言で言うとめんどくさいかな。

一番の違いは、我々は効率を優先しがちで、100点を取ることではなく、どうやって効率的に合格点の60点を取るかという思考をしがちで、かつ行動は真にそのもの。でも、一本の作品に何年もかけて、手作りで作品を作る人たちはやっぱり妥協を許さない。何が違うのか説明できなくても、違うものは違う。「こんなもんでいいか」がない。そして、その分私生活は意外にルーズそう。なかなかこういう人達とは生きている世界が違うなと、何かそんなことばかりを感じてしまいました。

・ものを作るのに、必要なものは何か。アイデア、情熱、才能、自信、金、愛情、怒り、希望、欲望、羨望、人望、その他各種色々だろうけれど、〈孤独は、人のふるさとだ〉と言った 坂口安吾 のことばの通り、さびしさに身を沈め、じっと孤独と詰める瞬間がなければ、作り手の中の鬼は物語で踊らない。

・映画は俳優本人の根っこにあるものを映し出してしまう。嫌な人間を演じる俳優は、根っこのところではやっぱり『良い人』でないと、観客には愛されない。

・心に誰かを宿すことで、人は心強さを得ると同時に守りの姿勢が芽生え、迷い、心に波風が立ち、そして何より孤独でいることに耐えられなくなる。

映画にまつわるXについて2 (実業之日本社文庫)

映画にまつわるXについて2 (実業之日本社文庫)

  • 作者:西川 美和
  • 発売日: 2020/08/05
  • メディア: 文庫
 

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