りおパパの日記

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SEは死滅する もっと極言暴論編

 木村岳史さんの「SEは死滅する もっと極言暴論編」を読みました。日本企業のIT部門とSIerがダメダメだという話。

IT業界の人月商売、多重下請けがもたらす45の毒害、これだけ書いておこうと思う。

1.SIerを頂点とした格差社会

1)労働集約型産業のままで知的集約型産業に脱皮できない、2)どのITベンダーも際立った特徴や強みを持たず金太郎飴、3)SIerを頂点とした明確な格差社会が存在する、4)格差社会の底辺のITベンダーや技術者が調整弁となる、5)ブラック企業を温存し新たに生み出す、6)いつまでも手工業、システム開発の工業化が進まない、7)優れた技術をもつベンチャー企業などがスポイルされる、8)先端のITトレンドから取り残されガラパゴス化が進む、9)膨大な数の技術者を付加価値が低い領域に固定することになる、10)新興国のITベンダーとのコスト競争に勝てない、11)業界のステータスが上がらず国の産業政策に影響力が無い、12)国家戦略・産業政策の対象ではなく雇用対策の対象になる

2.不正を生む温床となる多重下請け構造

13)「言われた通り何でも作る」という御用聞き営業が蔓延、14)全てを人月という工数に還元するので価値の提案ができない、15)プロジェクトマネージャーが丸投げ体質となる、16)実際にコードを書くプログラマーの価値が軽視される、17)同じチームで同一の仕事なのに所属企業で報酬が異なる、18)ブラック企業などによる偽装請負やその類似行為が横行する、19)ガバナンス、リスク管理がおざなりになり不正を生む温床になる

3.若者が日本のIT業界を避ける

20)定期的に発生する失敗プロジェクトでですマーチとなる、21)不況時に多くの技術者が失業の危機に直面する、22)枯れた技術ばかり使うので技術者として成長する機会を持てない、23)創り出した価値が見えにくく技術者のモチベーションが上がらない、24)コネ営業が横行し優れた営業担当者が育たない、25)IT産業に否定的イメージをもたらし、情報工学を志す若者が減る、26)優秀な学生が流入せず、ネット起業や米国に流出する

4.ユーザー企業の事業部門に相手にされない

27)システムで余計な機能も作り、ユーザー企業の無駄なプロセスを温存、28)ERPのカスタマイズ要求に対応し、導入効果を蝕んだ、29)ユーザー企業に結局は割高なシステムを使わせることになる、30)IT部部門の丸投げ・お任せ体質を生み、IT部門の劣化を招いた、31)契約以上の要求をするといったユーザー企業の増長を促進する、32)システムは特注品のため付加価値をユーザー企業に全部吸い取られる、33)短期開発、工期短縮の付加価値を提供できない、34)ユーザー企業の新規事業に資するシステムの開発が困難、35)ユーザー企業の事業部門からは相手にされない

5.ゆでガエルの危機に乏しい危機感

36)技術者数で売り上げが決まり、成長が難しい、37)不況期には必ず安値受注に走り、失敗プロジェクトを生む、38)好況になっても単価を十分に上げられない、39)人材教育に金と時間を掛けないので技術力が高度化しない、40)ガラパゴス化しているためグローバル展開できない、41)経営がリスクをとることに不慣れ、42)いつまで経ってもマーケティング力が身につかない、43)当面大きな案件にならないため、最新のITトレンドに無関心になる、44)自らのビジネスでITを使ったイノベーションが生まれない、45)「ゆでガエル」の危機が迫るのに危機感が乏しい

SEは死滅する もっと極言暴論編

SEは死滅する もっと極言暴論編

 

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今月の読書 5冊