りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

危機と人類(上)

ジャレド・ダイアモンドさんの「危機と人類(上)」を読みました。相変わらずこの人の知識の幅は何というか超人的。今回は

上巻はフィンランド、日本(幕末~明治維新)、チリ、インドネシアの歴史上の危機をとりあげ、それにどう対応してきたかを個人に生じる危機の対応(12の要因で説明される)の場合と対比する形で論じている。それにしても、日本の幕末~明治維新っていうのはやっぱり世界史的にも特異な例で、危機に極めて上手く対応できた例なんだなと改めて感動したりもした。 引用すると「明治日本は、選択的変化において重要だと私が考える要件をいくつも満たしている。危機の存在を認め、危機を解決する責任を負い、他国や他の人たちを改善の手本として使い、公正な自国評価を下し、強みを保持し、辛抱強く対処し、強いナショナル・アイデンティティを持ち、基本的価値観については譲らない、といった点である。」このほか、

・明治政府の指導者がめざしていたのは、断じて日本の「西洋化」ではなかったし、日本をヨーロッパから遠く離れた場所にあるヨーロッパ的社会にすることではなかった。
・明治政府の目標は、多くの西洋的要素を採り入れつつ、日本の状況に合うように調整し、日本の伝統的要素を多く残すことだった。
・明治の指導者たちは、自分たちが調整を加えつつ採り入れた西洋式の軍隊や教育などの諸制度が生まれた西洋社会について、驚くほど明確かつ包括的に理解したうえで、西洋化を進めていた。

とにかく、危機対応のキーワードは「選択的」ということらしい。つまり「個人も国家も、かつてのアイデンティティを完全に捨て去り、まったく違うものへ変化するのは不可能であり、望ましいわけでもない。危機に直面した個人と国家にとって難しいのは、機能良好で変えなくてよい部分と、機能不全で変えなければならない部分との分別だ。そのためには、自身の能力と価値観を公正に評価する必要がある。」ということ。きわめて説得的であり、やはり個人にも通じるものがあるような気がする。

危機と人類(上)

危機と人類(上)

 

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