りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

極夜行

 角幡唯介さんの「極夜行」を読みました。本屋大賞の新しい分野、ノンフィクション部門での受賞でタイトルからして興味津々。期待通りの生死を賭けた探検談、良く気が狂わずに帰還したものだと感心してしまいました。日がなかなか沈まない白夜は有名。でも、当然その反対に日が昇らない夜もある。そして、緯度が高ければ、一日中全く太陽が昇らない極夜が続く・・・らしい。極寒の地で太陽の無い土地で探検家は何を感じるのか。答えは最後にまとめて書いてある。

・自分の感覚を捨てなければ正しい道は開けないという絶対他力的な感覚をおぼえたとき、私は信仰の原初的形態を理解できた気がした。
・闇が恐ろしいのは自分の地理的な位置が決定できず、数日後に自分が生きていることをリアルに想像できないからであるとの思考に至った。
・人間にとって光が希望なのは誕生の瞬間に光に包まれるからであり、自分が極夜の果てに昇る太陽を憧憬してきたのも出産の追体験をしたいからだということに思い至った。

 大自然の中で、人間ができる限界と闘い、感じたことはある意味でホモサピエンスの原点だったのかもしれない。もっとストイックで無機質な記録かと思ったら、ユーモアたっぷりで、でも確実に自分の本音から出た言葉で綴られている。確かに圧倒的な作品でした。

極夜行

極夜行

 

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今月の読書 2冊