朔立木さんの「終の信託」を読みました。もともとのタイトルは「命の終わりを決めるとき」というものだったようです。いわゆる尊厳死の話と言ってしまえばそれまでですが、患者自身に医学知識があり、最期の時に冷静な判断ができないことを自覚していた場合、その「最期」の判断を誰に委ねるのか。医師と患者の関係から、そうした信頼関係を築き、そこまで信頼された医師がそれを実行した時、それは殺人になるのか。この作品は周防監督によって映画化されますが、作品の後半は「それでも僕はやっていない」を彷彿させる、日本の裁判というか検事の問題を浮き彫りにするものです。尊厳死というものをそういう視点でとらえることも重要だとは思いますが、タイトルにもあるように患者が医師を信頼し、尊厳死の信託をするという過程の方が自分には面白い感じがしました。まあ、あたりまえすぎるのかもしれませんが・・・それにしても、映画が楽しみです。
- 作者: 朔立木
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2012/06/12
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