りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

四月になれば彼女は

 川村元気さんの「四月になれば彼女は」を読みました。一言で感想を述べれば「とてもよかった」になります。恋愛小説といえば恋愛小説なのだけど、思わずノートしてしまいました。

・愛を終わらせない方法はひとつしかない。それは手に入れないことだ。決して自分のものにならないものしか永遠に愛することはできない。

・誰かの気を引こうとするときは、人はどこまでも優しく魅力的になれるんです。でも、それは一時的なものでしかない。手に入れた後は表面的で無責任な優しさに変ってしまう。

・ほとんどの人の目的は愛されることであって、自分から愛することではない。

・人間は体と心が乖離すると混乱する生き物なの。だから死ぬとわかった時、はじめはその乖離により苦しむ。体が先に弱り、死に近づく。その時が一番苦しい。心が置き去りにされることに耐えられない。でもやがて、心が体に追いつくときがくる。そして並んだ時に安定が訪れると私は思っています。

・生きているという実感は死に近づくことによってはっきりしてくる。この絶対的な矛盾が日常の中で形になったのが恋の正体だと僕は思う。人間は恋愛感情の中で束の間いま生きていると感じることができる。

最初の3つは主人公の精神科医師と後輩医師の会話。4つ目はホスピスの人の言葉。そして最後はホスピスで亡くなった患者(元新聞記者)が書いた小説の中なのかモチーフなのか、いずれにせよそれを書いた元新聞記者の言葉。

なぜ、大切な人が去っていくのを追いかけることができないのか?その人が去ることで失うもの、そういうものに対するイメージの欠如なのかな。手に入れるところまでは一生懸命なのだけど、一度手に入れて、何となくそれがずっと続くものだと思っていて、でもいつの間にかその当たり前が意識されなくなって、失われることに鈍感になってしまう。あまりうまく言葉にできないけど、何だかとても良かった。

映像化されるなら、春さんは是非宮崎あおいさんにやってほしい。

四月になれば彼女は

四月になれば彼女は

 

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