りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

苦役列車

西村賢太さんの「苦役列車」を読みました。芥川章作品ですね。受賞インタビューでは「そろそろ風俗行こうかと思っていた・・・」などと答え、逮捕歴ありを隠さずいう極めて異色の作家です。で、作品は予想通り、中学もろくに出ていない男が港湾労働をやりながら、日々刹那的にいい加減に生きていくという破滅的私小説村上龍さんの選評は「人生は不合理で不公平で不条理だが、それでも人は生きていかねばならない」という言葉に代表されているように思います。ただ、龍さんは「こうした小説のモチーフは文学的な手垢にまみれていて、現実へのコミットメントが希薄だ」と厳しい評価をしている。もちろん、龍さんの評価はこれで終わっている訳ではなく、注文を付けること自体、質の高い作品だというコメントもあるのだが、確かにこうしたモチーフは吉田修一さんの作品でも散々見られたものだし、個人的に小説にはストーリー性のようなものを期待してしまう自分としては、ちょっと評価の難しい作品となりました。
明日は、芥川賞のもう一つの作品「きことわ」を読んでみたいと思います。

苦役列車

苦役列車

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