西村賢太さんの「苦役列車」を読みました。芥川章作品ですね。受賞インタビューでは「そろそろ風俗行こうかと思っていた・・・」などと答え、逮捕歴ありを隠さずいう極めて異色の作家です。で、作品は予想通り、中学もろくに出ていない男が港湾労働をやりながら、日々刹那的にいい加減に生きていくという破滅的私小説。村上龍さんの選評は「人生は不合理で不公平で不条理だが、それでも人は生きていかねばならない」という言葉に代表されているように思います。ただ、龍さんは「こうした小説のモチーフは文学的な手垢にまみれていて、現実へのコミットメントが希薄だ」と厳しい評価をしている。もちろん、龍さんの評価はこれで終わっている訳ではなく、注文を付けること自体、質の高い作品だというコメントもあるのだが、確かにこうしたモチーフは吉田修一さんの作品でも散々見られたものだし、個人的に小説にはストーリー性のようなものを期待してしまう自分としては、ちょっと評価の難しい作品となりました。
明日は、芥川賞のもう一つの作品「きことわ」を読んでみたいと思います。
![苦役列車 苦役列車](http://ecx.images-amazon.com/images/I/41AXWJq1rlL._SL160_.jpg)
- 作者: 西村賢太
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/01/26
- メディア: 単行本
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