本日は出張もあり、読みかけの本などいろいろ読むことができました。
まず、池谷裕二さんと糸井重里さんの対談「海馬 脳は疲れない」です。脳科学者である池谷さんの本は結構好きで「進化しすぎた脳」や「記憶力を強くする」は以前読んだことがあり、なぜか今頃(文庫本の出版も平成十七年)本屋で平積みになっていた「海馬」を見て、池谷さんの本だからという理由で買ってしまいました。専門家の話をうまく引き出すという点で、コピーライター糸井重里の役割ははまっているように思いました。
・一見関係ないものとものとのあいだに、以前自分が発見したものに近いつながりを感じる能力は、30歳を超えると飛躍的に伸びるのです。
・凡人と天才の差よりも、天才どうしの差のほうがずっと大きいというのは、こうやって方法を学んでいく学び方の進行が、「べき乗」で起こり、やればやるほど飛躍的に経験メモリーのつながりが緊密になっていくからなのですよ。
・記憶は海馬の中に蓄えられているわけではないんです。海馬は情報の要・不要を判断して、他の部位に記憶を蓄えるんですね。だから海馬を「記憶の製造工場」と言うのです。
・海馬は生存のために必要な情報かどうかを判断して、生存に必要なものを記憶する。
・扁桃体を活性化すると海馬も活性化する。
・やる気を生み出す脳の場所があるんですよ。側坐核と言いまして、脳のほぼ真ん中に左右ひとつずつある。・・・側坐核の神経細胞はやっかいなことに、なかなか活動してくれないのです。・・・ある程度刺激がきたときだけです。つまり、「刺激が与えられるとさらに活動してくれる」ということでして、やる気が無い場合でもやりはじめるしかない。ということなんですね。
・「目標は大きく」ではなく、「目標は小刻みに」と心がけるほうがうまくいくようです。
・脳は、消去法のように、「ミスした方向に再び進まないように次の道を選ぶ」と言う性質があります。・・・学習の過程で、より多くのミスをしたサルのほうが将来的には記憶の定着率がいいのです。
・睡眠は、きちんと整理整頓できた情報をしっかりと記憶しようという、取捨選択の重要なプロセスなのです。だから、「夢をみない」とか「眠らない」ということは、海馬に情報を整理する猶予を与えないことになります。・・・毎日のリズムを崩すことが海馬に非常に悪影響を与えることも分かってきました。
・神経細胞のつながるカギを握っているのは受けてです。・・・受け手が活発であれば、関係は築かれるのです。
・人の本質とは変化である。この本でも重視してきた「可塑性」だ。脳がコンピュータと決定的に異なる点は、外界に反応しながら変容する自発性にある。
などなど、とても参考になりました。
吉田修一さんの「あの空の下で」はANAの機内誌に連載されたものが、1冊の本になったもの。いずれも読んだことのある短編&エッセーでしたが、再読してみてやっぱり良かったです。なんかとてもうまく気持ちを表現できているなと思います。こういうのがプロの仕事なんでしょうね。ANAの機内誌に連載されていただけあって、やっぱりどこか旅に結びついているんですね。そして、読んでみたら、ハッピーエンドは意外に少なくて、でも悲劇ではなくて、とてもいいバランスです。とても面白かったです。
最後に「安室奈美恵、アナザー・ワールド」。この本は昨年の暮れに出版されました。昨日、安室ちゃんの批評本を読んだので、改めて目を通してしまいました。
今年の再ブレークを完全に予感していたんでしょうね。まあ、アルバム「PLAY」あたりから明らかにその兆候はあったので、別に特別ではないと思いますが・・・これ、本当に安室ちゃんの歩んできた道のりを淡々とつづった本です。ファンとして悪くはありませんが、そんなに面白い本でもありませんでした。あくまで安室ちゃんをもっと知りたいファン向けにと言う感じでしょうか。
ライブフォト・エピソード満載とあって、確かに満載かもしれません。昨日読んだ安室批評の方が個人的には好きですが・・・
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