りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

音楽誌が書かないJポップ批評 安室奈美恵 「音楽・人・センス」

安室奈美恵の文字に惹かれて買ってしまいました。でも、読んでみたらとても面白かったです。巻頭で菊地成孔辛酸なめ子の対談があって、若干おちゃらけた部分もあるのだけど、きちんと安室ちゃんの良さを言い当てているところがいいです。「一番大きいのは、この人がB系のカッコもできるし、モードにも対応できるっていう両刀使いだってことだと思うんですよね・・・」「安室ちゃんの場合、本人は歌って踊ってるだけだけど、彼女と一緒にやりたい人がまわりに集まってくる。いわば天皇だね。あゆは大統領かな。浜崎あゆみなんて、音楽家から見ると自分がのし上がりたいためにフォークとかロックとか手近にある音楽をやり散らかしているだけで、きつく言えば、お前音楽ホントに好きじゃないだろって感じがするんですよ。でも安室奈美恵は「ああ、本当にヒップホップが好きなんだね」というか、音楽をやってて、その音楽によって自分も救われる感じが伝わってくるんですよね」と続きます。
あと、真ん中あたりに、川口瑞夫さんの「安室奈美恵浜崎あゆみ 2大カリスマはコインの裏表」という文章がでていて、これも何と無く説得力がありました。即自/対自というサルトル哲学に出てくる概念で二人を説明するわけですが、「行動する自分をもう一人の自分(自己意識)が見ているという傾向が強い浜崎が『対自』的なのに対して、行動する自分と自己意識が分裂していない安室は『即自』的だと。」なります。もちろん、この本は全編を通して安室ちゃんとあゆを比較しているわけではないですが、対比するものがあって、より特徴が浮き彫りにされるということもあるので、この2つは印象的でした。結局、浜崎あゆみはある種プロデューサー的で、自らをこだわりを持ってプロデュースしていくわけだけど、安室ちゃんは歌が好き、踊りが好きという本能のまま活動して、その一流の芸に周りが集まって、彼女をプロデュースする。しかも、彼女のすごさはそういうものを間違いなく吸収し表現できる天性の才能があるということなんでしょうか。よく分かりません。でも、個人的には安室ちゃんの方が好きです。
 なお、日経平均株価終値は前週末に比べて1,171円14銭高の9,447円57銭まで回復。上昇率は14.15%に達し、終値で過去最大だった平成2年10月2日の13.24%を超えた。とのことです。まだまだですが、とりあえず反発してよかったです。