りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

ブッダ 最期の言葉 涅槃経

佐々木閑先生の「ブッダ 最期のことば」を読みました。(阿含)涅槃経について書かれたものですが、一般的に涅槃経とは「ブッダを追慕する経典」ととらえられているのに対し、佐々木先生は「ブッダ亡き後の仏教僧団をどうやって維持・管理していけばよいか、その基本理念を説いたものだ」という見方をしている。そもそも仏教は、「生きがいを追及する組織」であり、教えの実践をベースとした「自己鍛錬システム」にその本質があると考え、自己鍛錬の場であるサンガの維持をとても重要なことと考えてのことという考察。聖徳太子の十七条の憲法には「篤く三宝を敬え」とあり、三宝とは仏法僧であることは小学生でも知っているけど、これはもともと仏教から来ていて、仏はブッダ、法はブッダの教え、僧は修行のための組織である「サンガ」を意味することは初めて知りました。

ブッダは組織が衰亡しないための条件として、5種類の衰亡しないための7つの法と1種類の衰亡しないための6つの法というのを示している。最も重要といわれている最初の7つの法とは、「決めごとは、メンバー全員が参加する会議で民主的に決めよ」「すべての生活は既に決められたルールに沿って行動し、法律を重視して暮らさねばならない」「先に出家した先輩を尊敬し、その言葉に耳を傾けよ(年功序列)」「『自分』という存在に執着し本来の仏道の意味を乱さない」「人気のない郊外に住んで静謐な生活を送る」「出家した全ての修行者を仲間として友好的に待遇せよ」などです。このほか「自分の本分以外のことには手を出すな」「無駄話をするな」「悪い友人と付き合うな」「寝てばかりいてはいけない」「常に努力せよ」「智慧を持て」などが続きます。サンガのコンセプトが「拡大」ではなく「維持」にあることもあって、極めて民主的な教えのように思います。

さて、涅槃経はお釈迦様の入滅の際の記録でもあり、その遺言ともいえる言葉「自洲法洲(あるいは自灯明法灯明ともいうらしい)」についても触れている。そのまま訳すと「私が死んだ後にお前たちが拠り所とすべきものは、私がこれまで語ってきた教えと、そしてお前たち自身の努力だけだ」という意味らしい。佐々木先生の解説は「仏教とは、ブッダを神のようにあがめる宗教ではなく、一人の人間としてのブッダが説き残した、その言葉を信頼する宗教であり、しかもその言葉を単に床の間に飾っておくのではなく、言葉の指示に従って自分自身で努力していかなくてはならない宗教だ」となっています。なるほど自己鍛錬システムです。

涅槃経では続いて具体的な修行法である「四念処」について語っている。これは、「身」「受(外界からの刺激に対する感受作用)」「心」「法(この世のすべての存在要素)」からなり、この四つの項目の間違った捉え方が煩悩の原因となるため、仏道修行に入る人は、この四項目を常に念頭に置き、間違った見方を捨て、正しい姿でとらえるようにしなければならないと説いています。

こはちょっと難しい。最後の法のところに「諸法無我」という言葉があり、これが「この世に『自分』などというものはない。単なる構成要素の一時的集合を自分等実在物だと錯覚しているに過ぎない」という見方なのだけど・・・

後は般若心経の中でもふれられた大乗仏教の話、ほか。まだまだ勉強が足りないです。

[DATA]

今月の読書 3冊

1月からの読書 5冊