りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

仮想空間シフト

 尾原和啓さんと山口周さんの対談本でもある「仮想空間シフト」を読みました。まず、この「仮想空間の解像度を上げる四象限」という図がとても良かった。特に横軸。目的型は仮想空間に移行できるけど、非目的型は必ずしも仮想空間には向かない?という整理は納得感がある。

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自分なりの理解でまとめてみる。

一番判り易いのは3の「一人で目的をやり切る」なのだけど、これは仮想空間というより自分一人でできるという意味で場所を選ばない。むしろ書斎のような環境がいいのかな。まあ、一人で自律的にできない人は色々問題がある領域だけど、自分にはあまり関係ないかな。

次に判り易いのは1の「決まった目的をみんなでやり切る」は仮想空間を上手く使えると効率的なところという理解をしました。事前にSlackやTeamsで問題意識を共有しておくと、打ち合わせもホットな状態から始められて有効という意味で効率的。場所の移動時間もないし、ホットな議論をいきなりできるから会議も短縮できる。会議の中で情報を共有するという時間が無くなるわけですね。

多分普通に語られているのは、この右側の2つの象限の話で、単に会議を効率的にやるというだけでなく、会社の在り方などもデジタルの力で大きく変えられるという部分の話もあるように思っています。仕事というかプロジェクトをやるには、色々なタレントが必要で、本当にその力を持った人にその部分だけやってもらってコーディネートできたらそれが理想な訳だけど、その人の能力だったり、信用だったりが判らないから、会社という中に人を囲い込んで、その中で(ある意味能力や信用が共有されている中で)の最適化をしているのが現状。一方で、APIエコノミーとかいって、UberだとかAirBnBのようにデジタルの力によって評価が見える化されている。そういうことが進めば、チームの作り方もデジタルによって変えられるのではないかというのが一つの論点。当然、働き方も一つの会社に依存することなく、色々なところと取引していくっていうのが当たり前になってくるかもしれない。

一方で、こうしたプロフェッショナルにどうやってきちんと働いてもらうのか、モチベーションをどう維持させるかというのも一つの論点。そこは、その仕事をやることの「意味」を作って行かないといけないということなんだと思うけど、これは簡単には語れない。難しい問題だと思う。最近はやりの「世界観」にも通じるような気がする。
左側の象限の上側、「決まってないからこそみんなで蓄積する」については、Googleでは「カジュアルコリジョン」(Casual collision)の話が出てきた。Googleでは、いかに社内のいろいろな人と交流を持って意見交換をするか、という文化が重要視されているらしく、社内カフェにさまざまな部署の社員が集まることで「ちょっとこれがわからないんだよね」「それなら多分あいつが詳しいぞ、ちょうどあそこにいるから繋いであげるよ」といったシナジーが生まれるという文化を形成しているらしい。羨ましい限りだけど、これは仮想空間からは生まれにくいと断言されている。ここで、右側の上の「決まった目的をみんなでやりきる」に戻るのだけど、重要な意思決定を行うためには、普段から一緒に仕事をしていて、相手の考え方を理解していたり、お互いの信頼関係がないと成立しないというのは何となく感じていることで、それには左側の象限が充実していることが大前提というのが納得感のある指摘でした。 これ、うちの会社でも一時流行ったセレンディピティなのだけど、このセレンディピティを起こすように自分の生活の中にランダムな部分を少し入れておくことが大事だということみたいです。そして、イノベーションというのは運動量が全てみたいなところがあって、とにかく運動量を増やしていかないと情報の母数が増えないので、成果も出ない。けれど、自分が全く知らなかった情報を手に入れるためには、単に動き回るのではなくて予定調和じゃないことをしないといけないようです。企業としても一見無駄に見える、収益がろくに出ていないような活動を一定の量はやらないと、長期的に見た収益は落ちていくということですが、個人としては一つの仕事しかやっていないと、その仕事でリスクをとることができなくなる、どうしても守りに入ってしまうということです。ちょっと今から放電してお金を稼ぐけど、放電ばっかりしていると人生がやせ細っていくから、たとえお金が稼げなくても自分自身を充電できるような仕事もやっておく。自分を俯瞰して経営するような視点が必要で、金銭的な豊かさと精神的な豊かさのバランスをとりながらポートフォリオを作らなければならないということみたいです。
一方で、デジタルの世界と言うのは問題を解決することには向いていますが、そもそもの問題を思いつくことには実は向いていません。良い仕事をするためにはモチベーションを生んでくれるような意味のある問題提起が必要ということも忘れてはいけません。その答えは無いのだけど、ひとつのヒントは「反脆弱性」。外乱やストレスによってパフォーマンスがむしろ上昇する性質のことですが、そのためには自分の中に小さな変化で良いのでランダム性を取り入れ、都度考え、それに対応する行動力を高めることなのかなと自分では理解しました。

仮想空間シフト

仮想空間シフト

 
 

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