りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

SMFGのIFRS連結財務諸表

先週号の金融財政事情に「三井住友FGのIFRS連結財務諸表」という記事があった。こういうのは苦労しても先にやった方が勝ち。今回の記事は、SMFGが2010年11月1日にニューヨーク証券取引所に上場するに当たって、IFRSによる連結財務諸表を提出したという記事だ。興味があったのは、もちろん金融商品の減損。まず、貸出金の減損については、日本基準での資産査定の枠組みの結果を基本的に活用できるとのこと。貸出金および債権の部分を引用すると「IFRSでは、個別に重要な減損貸出金についてDCF法を適用し、将来キャッシュフローの最善の見積を行い、当初の実効金利で割り引くことによって貸倒引当金を算定する。これに対し、日本基準でDCF法を適用する場合には、合理的に見積もられた将来キャッシュフローを当初の約定利子率で割り引くことにより、貸倒引当金を算定する。・・・(中略)。DCF法を用いて貸倒引当金の算定を行った貸出金以外の貸出金に対する貸倒引当金については、IFRSでは過去の損失実績に基づく統計的手法を用い、貨幣の時間的価値の影響を組込、類似した特性を有するグループごとに一括計算する。加えて、関連する経済的要因に基づく定性分析を行い、報告期末時点での直近の状況を貸倒引当金の見積に反映させる。(後略)」とある。なかなかこの記述だけではわかりませんね。将来キャッシュフローの最善の見積と合理的に見積もられた将来キャッシュフローの違い。そこで、公開草案(ED/2009/12)「金融商品償却原価及び減損」の解説資料などを見てみると、期待キャッシュフローを見積る際には、企業は以下の点を考慮すべしと書いてあります。1)期限前償還等のすべての契約条件、2)手数料等、3)金融資産の場合には、当該金融資産の期待存続期間にわたる期待信用損失(金融負債の場合には、自社の不履行リスクは考慮しない)。さらに解説を読むと、現行IAS第39号では、「期待信用損失を期待キャッシュフローに含めることは認められていないので、ここが大きな変更点になる」と書いてあり、期待信用損失については、シーズニングを加味した計算を求めるようになったと理解すれば良いのかなと思います。つまり、この辺がキャッシュフロー計算の違いなのかな。あと、本公開草案では「キャッシュフローを見積る際には、もっとも発生可能性が高い結果を表す価値(最頻値)ではなく、起こりうる結果を発生確率で加重した価値(期待値)にもとづいて決定すること」が提案されているようで、常にLBLでキャッシュフローを考えている自分たちには問題ないけど、概ねこんな感じという代表値を使った計算が許されないという風に読めます。いずれにせよ、デフォルトやプリペイメントにモデルを作り、特定の確率分布で表現した上でLBLでキャッシュフローの期待値計算をやるという自分たちの現在価値計算アプローチはマッチしているように読めました。DCF法以外のところは、バーゼルの臭いがしますね。プール管理、割引、保守的補正・・・まあ、何とかなるでしょう。