りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

八日目の蝉

ふとしたきっかけで、「八月の蝉」を見てしまいました。原作は角田光代さん。これは読みました。映画は小説の基本コンセプトは変えずに原作とは少し違った作りで、でもそうする事によって作者の伝えたかった事がより判ったような気がしました。まず、「八日目の蝉」というタイトル。蝉は何年も地中にいながら、地上に出るとわずか7日で命がつきてしまう事に対して、最初は「皆が7日で死んでしまうのに、自分だけ八日目まで生きているとかえって幸せではない」という台詞があるのだけど、最後には「8日生きたから見える景色もある」という形に変化している。人と違う変わった人生を生きて来たら、そうだからこそ見える景色もあって、幸せなんだと言うメッセージになるのかな。この事に気がついた事が映画にして良かったと思うところでもあります。
父親の不倫相手に誘拐されて、3歳まで育てられるという過去を持った主人公。誘拐犯が不倫相手であっただけに、家に戻っても両親は不仲。自分がいなければ・・・という思いを背負って、大学生になると今度は不倫して相手の子供を身ごもることに。こういうのはちょっとやりきれないなと小説を読んでいる時は思いました。でも、誘拐犯だった母親にはとても愛情深く育てられた。自分は子供の時、本来もっとも両親に愛されるべき時間を誘拐犯に奪われたと思っていたものが、母親だけでなく地域の人にも愛されたことを思い出した・・・それなのかな。最初は...本当に何でこういうタイトルなんだろうと不思議に思っていました。いずれにせよ、思った以上に印象に残るよい作品だと思いました。

八日目の蝉 通常版 [DVD]

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