りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

何様

いつか読んだ「何者」のアナザーストーリー集。何者は原作も映画も良かった。就活で集まった若者たちの本音の部分が上手く書かれていて、アナザーストーリーである「何様」もいつか読んでみたいと思っていたのだけど、文庫化されたところで早速購入。何者に出てきた人たちがはっきり思い出せないので、何者の誰がどれなのか判らないところもあったけど、そういうのを気にしないで読んで面白い作品でした。色々、書き留めてしまいました。本音が露骨に顕在化されているからこそ共感できるものもある・・・ということかな。

・俺は、夕子さんの夢だけが、本物だと思った。誰にも言わないで、自分の中で大切に大切に育て上げて、努力を続けた夕子さんの夢だけが、本物だと思った。(中略)俺は、夢がぎゅうぎゅうづめになっている教室の中で、とにかく一番大きな音を出さなければ、と、必死だった。自分には夢があるって思いたかった。夢に向かって精いっぱい頑張っている人間だって、誰かに思ってもらいたかった。あの人ならミュージシャンになれるかもしれない、そう誰かに思ってもらうことによって、自分のやわらかい、覚悟のない夢を固めていきたかった。

・きっかけとか覚悟とかって、多分、あとからついてくるんだよ

・花奈が拾い上げるものと、俺が拾い上げるものは、違う。同じ世界を生きて、同じものを見ていても。  それどころか、どちらかが真っ先に捨てたものと、どちらかが真っ先に拾い上げたものが、全く同じものだってことも、ある。

・本当に大切なのは、はじめの十秒間なんかではない。一番大切なのは、「大切なのははじめの十秒間です」というふうに、何でもいいからとにかく言い切るということだ。

・学校の先生も、教科書も、両親も、子どものころは子どもに対して、いい子であれ、人に迷惑をかけるな、間違ったことをするなと教える。だけど大人になった途端、一度くらい本気で喧嘩したほうが人と人は深く分かり合えるとか、人に迷惑をかけてきたからこそ伝えられる何かがあるだなんて言い始める。正しいだけではつまらないなんて、言い始める。

・武田が学生のことを侮っていなかったからなのだと思う。武田は、相手が克弘のような経験のない若造でも、きちんと信頼してくれる。相手を軽んじる、ということがないのだ。こういう人が人を選ぶべき立場にあるべきなんだろうな。

・ビジネスシーンにおいて〝いい人〟はいらない、思ったことははっきりと声に出す、交渉事ではまずこちらが上の立場であることを示す─

・組織の一番上か、一番下でない限り、仕事とは、立場の違う人と人の間に存在する。その中で、あらゆることを、どちらの気分も害さないように調整できる能力──それこそが仕事ができる能力なのではないだろうか。

・克弘は、今この瞬間、本気でそう思うことができた事実を、この先何度も大切なお守りのように握り締める予感がした。その途端、今までは見えていなかっただけで、誰の掌にもその人だけの透明のお守りが隠されているような気がした。

何様 (新潮文庫)

何様 (新潮文庫)

 

[DATA]

今月の読書 8冊

1月からの読書 48冊