池田信夫さん他の「3.11後日本経済はこうなる!」を読みました。池田信夫さんのツイッターは毎日見ています。もちろん、ブログも。毎日これだけ暑いと、さすがに我慢も限界。日本脱出を本気で考えたくなりますが、そういう人が3.11後の議論を整理するにはちょうど良い一冊だと思います。エネルギー政策という側面もありますが、人口が減少していく中でユニバーサル・サービスをどう考えるかという問題提起もあります。ユニバーサル・サービスを提供するには当然コスト負担があって、それを誰が負担するかということですね。もちろん、とりあえず先送りっていう選択肢もありますが、そうやって先送りした負担はどこかできちんと誰かが返さなければならない。人口が増加している中ではあまり問題にならなかったことに、真剣に目を向けなければならないということでしょうか。
原発問題に関していうと、わたしは20年前は間違いなく反原発、脱原発派だったと思います。広瀬隆さんの本はいろいろ読んだしね。でも、原発議論をするとき、本当に原発だけにリスクがあるのかという問題(他の発電にはリスクはないのかという問題)、原発のリスクが本当にどれくらいなのかという問題などがまったくなくなって、それはイデオロギーや政治問題になってしまっていることに嫌悪感を覚えます。飛行機が絶対に墜落しないわけじゃないのと同じように、原発も100%安全なんてありえません。大前提としてそういう認識のもとに、リスクを評価しなければ何も建設的な議論ができない。リスクは認識し、評価してこそ対応できるのに、「絶対」などといっているからまともな議論ができない。まともな議論ができないから、きちんと評価もせずに隠蔽される、新しい技術も適用されないという最低なことが起こっているのではないかと思います。仮に・・・仮に今の状態で停電が起こらないとしても、駅のエスカレーターが止まって高齢者や障害者の方が大変な思いをしているのは見捨てていいのでしょうか?橋下知事は「いざとなったらエアコンを止めれば」などといっていますが、技術的な面はともかく、それで高齢者が家の中で熱中症になったら、そして最悪命を落とすことがあったら、責任を取れるのでしょうか?怒られることを承知であえていえば、今回の原発事故も直接的に死亡した人はいません。熱中症で人の命を奪っても絶対に原発は動かすべきでないのでしょうか?当然経済も停滞する。雇用にも影響する。菅首相や橋下知事はそういうこともきちんと踏まえて、それでも総じて原発のほうが社会的な損失が大きいと考えているのでしょうか?とにかく、この本を一読して考える力を身につけるべきと思いました。
- 作者: 池田信夫,小黒一正,澤昭裕,村上憲郎,小幡績
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2011/06/13
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