りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

資本主義は嫌いですか

慶應大学経済学部の竹森俊平教授の「資本主義は嫌いですか」を読んでいます。まだ読了していません。この本のテーマは「サブプライム危機」。三部構成になっていて、第一部のテーマは「バブル」、第二部のテーマは「サブプライム危機はどの程度予想されていたか」、そして第三部のテーマは「流動性」・・・らしい。序文を読む限り。
序文で触れられているのが、シカゴスクールの生みの親ともいわれている経済学者フランク・ナイト。「発生確率が予想できる危険を『リスク』といい、それが予想できない危険を『不確実性』という」。これがナイトの考え方らしい。
価格を引き下げて、ライバルから市場を奪おうとして企業が熾烈な競争を展開している「市場」において、起業家は確率予想できない危険、すなわち「不確実性」の領域に踏み込むことによってのみ「利潤」が得られる。なぜなら、事業に係わる危険が、確率予想できる「リスク」だけであるならば、事業についての収入と生産費の期待値が計算してしまうからだ。そうだとすると、収入の期待値が生産費の期待値を上回り、平均的には「利潤」がその事業に見込まれるという場合には、企業間の熾烈な競争が継続するだろう。その結果、収入の期待値は生産費の期待値までに下がって、平均的に「利潤」は消滅せざるをえないのである。それに対して、危険についての確率予想できない「不確実性」領域に踏み込むなら、起業家は、時に「利潤」を得られる。なぜなら「不確実性」の領域では、「利潤」についての確率予想も成り立たないから、いかに強力な競争の力をもってしても、「利潤」がゼロまで下がるとは断言できないからだ。ある企業家が、他のものから見えればあまりに無謀な事業に載りだしている場合には、他者はその企業家に「競争」を挑もうとしない。それゆえ、その企業家が運良く「利潤」を、しかも「莫大な利潤」をつかむこともありえる。
この部分だけでも、この本を買った価値があった。非常にわかりやすく、端的にサブプライム危機を説明しているように思います。まだ、途上ですが、様々な学説を紹介しつつ、解説するスタイルは経済学の専門家でない我々にも興味深く読める一冊だと思います。

資本主義は嫌いですか―それでもマネーは世界を動かす

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