ボナンザの開発者、山本一成さんの「人工知能はどのようにして『名人』を超えたのか?」を読みました。サブタイトルは、「最強の将棋AIボナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質」です。ボナンザの開発を通して、あるいはアルファ碁の解説を通しながら、機械学習とディープラーニング、それから強化学習について解説。結果、何ができるようになったのか、何が判らないのか、あるいはこうした先端で開発することってどういうことなのかが何となく感じ取れるそんな本でした。ボナンザ、ちょっと前まではロジスティック回帰だったんですね。それが一番の驚きでした。ただ、ディープラーニングを駆使したアルファ碁が布石、つまり後で振り返ってあの手が良かったという手を打てるというのが凄いなと思いました。
少し面白いなと思ったのは、「知能」と「知性」の違いについて。この本では「知性とは目的を設計できる能力である」と定義し、「知能は探索と評価で目的までの道筋を探すことができる能力」と定義していること。そして今のところ人工知能は知性を持っていないのだけど、知性を持たせるということは倫理的な正しさを教え込まないといけないということに通じて、この知能と知性を分けて定義しておくことが議論を整理するうえで重要なのだなと理解できました。
ちょっとわからなかったのは強化学習。教師なし学習ということでいいのかな。ここは専門書でもう少しきちんとフォローしないとと思いましたが、全般的に非常に判り易く理解の進む本でした。
人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?―――最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質
- 作者: 山本一成
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2017/05/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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