というわけで、唐代伝奇を読んでいます。唐代伝奇の特徴は、読者を意識して書いていることみたいですね。
中国における小説のはじまりは、「漢書」の「芸文志」の中の諸子百家の分類の中にあって、「小説=取るに足らぬつまらない話」という程度のものから始まったらしいです。その後、六朝時代になって、「捜神記」に代表される「志怪」小説と呼ばれるものが出現して、超自然的な説話やエピソードなどを記していたようですが、これも小説というよりは、あくまで伝承されていた民間の説話や自分が体験したエピソードをそのまま記録し、伝えるというもので、自分の創造意欲に任せて一つの話を作り上げるという創作という形にはなっていなかったらしいです。それが、唐代になって「伝奇小説」が生まれると、はじめて明らかに読者を意識し、創作して作り上げる形態になったといわれています。この、伝奇小説、書き手は「科挙に合格して夢のかなった官僚群」と「科挙に落第して夢の破れた知識人」がいて、実は後者が多かったといわれています。このため「立身出世」「栄耀栄華」にまつわる物がみられたり、花柳街「狭斜」の女性とのロマンスなど様々な話題が小説という形で世に現れたようです。
- 作者: 内田泉之助,乾一夫,波出石実
- 出版社/メーカー: 明治書院
- 発売日: 2002/07
- メディア: 新書
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