百田尚樹さんの「海賊と呼ばれた男(下)」を読みました。堺屋太一さんの解説がこの本をよくまとめていて、國岡鉄造=出光佐三、國岡商店=出光興産であることを明らかにしたうえで、この本の魅力を2つに整理している。ひとつは、出光興産という規模と個性を持つ大企業を一代にして興した人物の自伝的小説としての面白さに加え、国際石油資本の唱える世界的秩序と、通産官僚やそれに融合する他の石油会社の主張する業界秩序、それに國岡鉄藏ら國岡商会が掲げる努力した者が報われる自由競争的発想の、三つの「正義」の絡み合いである。堺屋さんの解説はそのあとに「官僚の倫理と論理」の説明があり、これがあって、この三つの絡み合いの状況がよく理解できるように書かれている。私利私欲でなく、己の信念と正義に基づいて行動する鉄藏は確かに魅力的であり、正義が必ず勝つという日本人好みのストーリー展開が何とも痛快で面白い作品でした。
- 作者: 百田尚樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/07/15
- メディア: 文庫
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