重松清さんの小説「その日の前に」を読みました。最初は、似たようなテーマを扱う短編集かと思ったのですが、いやそういうものだったのでしょうが、最後の3編「その日のまえに」「その日」「その日のあとで」で少しずつ関連づけられていたりします。その辺はあとがきにも書いてあるのですが、何となくそうした方が良かったように思います。
「その日」とは大切な人が死を迎える日。突然の死ではなく、余命を宣告されて一日、一日その日にむかって近づいていくことがわかる、その日です。あとがきには「生きること」と「死ぬこと」、「のこされること」と「歩き出すこと」をまっすぐに描いてみたかったと書かれています。そうなのかな。松山からの帰りの飛行機でぐっと来るものがありました。一昨年、映画「象の背中」を見たときも「生きること」と「死ぬこと」についてはいろいろ考えさせられましたが、「その日」そのものと、「のこされること」「歩き出すこと」についてまでは考えられませんでした。どんなに前もって準備をしても、心の整理をつけていても、その日は冷静では居られないでしょうし、反面淡々と時が過ぎていくのかも知れません。そして、時間がいろいろなものを風化させて、また「歩き出す」のだろうと思います。こういう小説は、ちょっと辛いです。
- 作者: 重松清
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/08/05
- メディア: 単行本
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