もともと原作が秀逸なのだけど、ある意味原作を超えてきたなというところもありました。草薙さんの苦悩が深かったですね。ミステリーとして楽しもうとすると、確かに謎解きがすんなりと行き過ぎてしまっている感じは否めないのですが、それは映画の時間なのである意味やむを得ないかと。犯人であるという確信を持ちながら、今一歩足りずに送検できなかった草薙さんの苦悩と少女を失ってしまった家族や親しい人たちの苦しい気持ちが、これでもかという形で伝わってきました。主役級の3人は別格としても、キャスティングも良かったと思います。でも、最後、傷害致死から殺人罪になってしまうのね。立証できる可能性は限りなく少ないような気がするけど、そこは損得勘定ではなく気持ちなんですね。全編いつになく感傷的に見てしまいました。良かったです。
監督:西谷弘
脚本:福田靖