前評判を聞いていた時から、重い作品であることは判っていたし、救いがあるなんて思っていなかったけど、やっぱり見てどよ~んとしてしまう作品。閉塞感ばかりがあって、どこにも希望が感じられない。何のために生きているのか、何で逃げ出さないのか。幼少期のとてつもなく悲惨な記憶。繰り返される暴力。愛の無いセックス。単なる貧しさとも違う、逃げ道のない閉塞感。重かったです。
監督:佐藤二朗
1970年代の浅草ってこんな感じだったのか。ツービートとして、毒舌の全く新しい形の漫才でスターダムにのしあがったタケシにも、こんな修行時代があったとは。何だか驚きばかりなんだけど、タケシの才能を見出し、それを愛し、芸を教えこんだ師匠である深見千三郎っていう存在を初めて知ったし、その人の魅力と芸に対する姿勢、弟子に対する優しい心遣いに感動してしまいました。奥さんも素晴らしい。浅草=人情っていうと、何だか凄く薄っぺらく見えてしまうかもしれないけど、何となく血の通った温もりのようなものを感じた。
お笑いの主戦場がテレビになる。1970年代とかそんな時代だったのかなと思うけど、確かに80年代に漫才ブーム、お笑いブームがあって、そういう新しい流れに上手く乗った人(もちろん、実力がある)と、それまでのやり方を頑なに守った人の違いみたいなものがあったのかもしれないな。どんなときにもボケることを考える。笑われるんじゃなくて、笑わせる。何か男の心意気みたいなものを感じた。柳楽優弥さんと大泉洋さんの演技がとても良かった。
監督:劇団ひとり