りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

生産性

伊賀泰代さんの「生産性」を読みました。

序章 軽視される「生産性」

第1章 生産性向上のための4つのアプローチ

第2章 ビジネスイノベーションに不可欠な生産性の意識

第3章 量から質の評価へ

第4章 トップパフォーマーの潜在力を引き出す

第5章 人材を諦めない組織へ

第6章 管理職の使命はチームの生産性向上

第7章 業務の生産性向上に直結する研修

第8章 マッキンゼー流 資料の作り方

第9章 マッキンゼー流 会議の進め方

終章 マクロな視点から

という構成。最初の方は、何となく当たり前なこと(でもできていないこと?)を言っているような気がしましたが(問題提起)、第7章、8章、9章当たりはとても具体的で説得力がありました。特に第9章の会議の進め方。非常に示唆に富む内容だったと思います。

 ・やるべきことの優先順位を明確にし、優先順位の低いことは大胆に割り切ってしまう判断の潔さや、常に結論を先に表明し、無駄な説明時間や誤解が生じる余地をそぎ落としてしまう直截なコミュニケーションスタイルなど、その働き方にはあらゆる場面において、少しでも生産性を高めようとする強い意志が感じられたのです。
・付加価値額を投入資源量で割って計算される生産性を上げるには、言うまでもなくふたつの方法があります。ひとつはコスト削減、そしてもうひとつが付加価値額の向上です。
・さらには人材育成に関しても、「成長するとは生産性を上げることである」というシンプルな信念が貫かれています。成長するとは、新たな知識や技術を習得することでも、英語がうまくなることでもありません。それらを駆使して仕事の生産性を上げることができたかどうか。それがすべてなのです。
・コスト削減だけでなく成果の価値を上げることも、そして、改善的な手法だけでなくイノベーティブな発想や技術を駆使して大幅な生産性向上を達成することも、同様に重要です。
・生産性の向上に無関心な企業が、次々とイノベーションを起こす革新的な企業になるとは思えません。
・組織全体が生産性の向上に意識的になることこそが、イノベーションを生みやすい組織風土をつくるのです。
・働く人が疲弊するのは、付加価値の低い、「自分がこれをやることにどんな意味があるのか?」と疑問に思えるようなオペレーショナルな作業を延々と続けさせられるときです。そしてギスギスするのは、そんな人ばかりが脇目も振らず、時間に追われ焦って働いている職場のほうでしょう。
イノベーションには技術的なイノベーションと、非技術的なイノベーションというふたつのタイプが存在すること
・ビジネスイノベーションが起こるには、その源として常に「問題認識」と「画期的な解決法への強い希求心」のふたつが必要です。
・ビジネスイノベーションを起こすためには、社員に「問題認識力=課題設定力」と「その問題を一気に解決したいという強い動機づけ」をもたせることが不可欠になるのです。これがまさに「Motivation for innovation」であり、そのために大きな役割を果たすのが「生産性という概念を日常的に、強く意識させておくこと」なのです。
・現実の建築案件にはいろんな制約条件がある。その制限の中でいかにいい物をつくるかという挑戦こそが新しい発想につながるのだ」と言っていました。
・目標とすべきは「会議の時間を短縮すること」ではなく「会議の生産性を上げること」だという出発点に、今一度たち戻る必要があるでしょう。
・社員の評価を仕事の成果の絶対値(量)だけで行うと、「徹夜をしてでもよい仕事をする」「どんな犠牲を払ってでも、どれだけコストをかけてでも、より高いレベルの仕事を目指す」といった頑張り方を肯定してしまいます。
・仕事の生産性を上げ、目の前の仕事だけでなく今後の成長のための投資や新しいチャレンジもすべて労働時間内でやりきれるようになる、そうなることを目指す??そういう意識に変えていかないと、プロフェッショナルとしての成長には、常に個人生活の犠牲がセットでついてきてしまいます。
・トップパフォーマーが自分の成長スピードが遅いと気づくのは、外部と接したときです。海外留学をして、自分と同い年なのにリーダーシップにも組織運営力にも圧倒的に秀でた人と出会えば、どういう場所でどういう経験を積めば自分もそうなれるのか、自然に考え始めるでしょう。
・彼らが転職や起業をするのは高い報酬のためなどではなく、自分のフルポテンシャルを発揮できるチャレンジングな環境を求めてのことです。
・可能性がある子どもに、やればできるとわかっているような目標を与えてはいけないのです
・選抜漏れ中高年の再教育、すなわち育成を諦めてしまうことの最大の問題は、彼らを諦めることが組織全体に悪影響を与えるという点にあります。
・米国の企業も解雇が可能だからといって、スキルの低い社員をトレーニングもせずに解雇しているわけではないのです。
・昇格やボーナス査定のためではなく、成長支援のためのフィードバックだとしたら、「weak points」などというネガティブな言葉を使う必要はありません。「次はこの点で成長しましょう!」と伝えて成長を支援したいなら、「次にスキル開発をすべき分野」という意味の「development needs」という言葉を使うほうが適切なのです。
・多くの人は、A評価かB評価かという話ではなく、仕事に対する具体的で詳細なフィードバックを与えられると、極めて真摯にそれを受け止めます。
・管理職の仕事とは、「チームの生産性向上のためにリーダーシップを発揮すること」に尽きます。
・仕事の遅い新人は、最終的な成果にはつながらない不要な情報を大量に集めて読み込むことに何時間も使っていたり、付加価値がほぼゼロに近い「グラフをキレイに整える」といった作業に多大な時間をかけています。
マッキンゼーにおいて成長する、昇格するとは、仕事の生産性を上げることに他なりません。
・まず考えるべきは「この仕事はなくせないのか?」ということであり、次が「より効率的な方法はないか? 自動化できないのか?」ということです。
・どんな仕事もまずは、「そもそもどれほどの価値を生んでいる仕事なのか」ということを吟味したうえでの自動化が必要です。それなしに「とりあえずIT化」を進めても、派遣社員や新人に仕事を回すのと同様、仕事をブラックボックス化し、問題を先送りするだけに終わってしまいます。
・一年に一度、仕事の閑散期に「部門内の仕事の洗い出しと、不要な仕事の廃止」を行うことを慣習化すれば、他にも多くのメリットが得られます。
・本当の意味で仕事ができる人というのは、少ないインプットで高い成果の出せる生産性の高い仕事のやり方を考案し、その仕事が他の人にも可能になるよう言語化し、移植できる人です。そして自分自身は、どんどん違う仕事にチャレンジしていく人のことです。
・三割もの生産性改善を実現するには、管理職の強い意思とリーダーシップが必要で、実施期間も一年を超え、長期的な視野や計画性、リスクをとっての判断も求められます。
・マネージャーの仕事とは、トレードオフが存在する状況において判断を下すこと」
・マネージャーの仕事とは、 ・決断をすること、と ・リスクに備えておくこと となります
・最も重要なことは「仕事に取りかかる前にアウトプットイメージをもつ」ということです。
コンサルティングファームではブランク資料を作らずに情報収集を始めることは不可能(もしくは御法度)とされています。
・新たに見つかった情報を含め、「ブランク資料を作り直す」です。
・必要十分なレベルと中途半端なレベルの違いが理解できていません。中には、(今回の意思決定に必要かどうかにかかわらず)完璧に仕上げること自体に快感を感じる人もおり、仕事の生産性を落としてしまいがちです。
・「原則として資料の説明は禁止」というルールを作れば、会議の生産性は大幅に上昇します。
・生産性の低い会議とは、時間が長い会議のことではなく「決めるべきことが決まらない会議」のことです。
・足りないのは本当に情報なのか? 意思決定のロジックは明確なのか?
・「会議時間の短縮」に敏感な企業は増えていますが、本当は「意思決定の生産性」についてこそ、より意識的になるべきなのです。
・もはや「負担の移転」だけでは問題は解決できないということです。
・解くべき課題は長時間労働ではなく、働いている人の生産性が低いまま放置されていることです。
・地方の人口が減少していることではなく、あらゆる面において、地方の生産性が低すぎることです。

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

 

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