翁邦雄先生の「日本銀行」を読みました。前半は中央銀行の誕生と役割とか伝統的な金融政策について書かれていましたが、第7章デフレ脱却の理論、第8章クルーグマンと「日本型デフレ」、第9章中央銀行と財政政策、第10章「異次元の金融緩和」とアベノミクスは大変勉強になりました。ちょっと面白かったのは「グレート・キャピトル・ヒル・ベビーシッティング・クライシスと金融理論」で説明される「金融政策で通貨量を増やせば不況から脱出できる」という量的緩和の直感的理解、それとインフレ期待の複数均衡によって説明されるFRBバーナンキ議長と日本銀行黒田総裁の主張の食い違いに関する考察がためになりました。翁先生自身は日本銀行の現行施策である量的緩和には悲観的な印象を受けますが、一方、手仕舞する時に大きな困難を伴う可能性があることを指摘しており、注意が必要と認識しました。
- 作者: 翁邦雄
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2013/07/10
- メディア: 新書
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