吉川洋先生の「デフレーション」を読みました。非常に勉強になりました。デフレの研究成果についての本ですが、一番のポイントは貨幣数量説を否定していること。正確にはゼロ金利下では、ハイパワード・マネーあるいは貨幣数量を増やしても、それが実体経済にプラスの影響を与え物価を上昇させるということは無かったと実証的に説明している。では、なぜ日本にだけデフレが起きたのか。それは1990年代後半に大企業を中心に高度成長期に確立された旧来の雇用システムが崩壊したことにより、名目賃金が下がり始めたこといよると説明している。従来の効率賃金モデルは、需要αの変化は賃金wには影響を与えず、労働雇用Lのみを変化させるのに対し、「日本型」の効率賃金モデルは賃金が企業の業績を繁栄して伸縮的にアップ・ダウンする一方、雇用は一定水準に維持されるというもので、こうした関係から日本の名目賃金が下がったことにつながったと分析する。
貨幣数量説は経済学の常識かもしれませんが、何となく感覚的にしっくりいかなかったのだけど、この本を読んで良くわかりました。というわけで、アベノミックスがかなり不安に感じられるようになりました。

- 作者: 吉川洋
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2013/01/19
- メディア: 単行本
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